3.志望校選びについて

 ここでは、中学受験の志望校選びについてのアドバイスをさせていただきます。

模擬試験問題と実際の入試問題との違いについて

 算数を例にとります。首都圏で3大模試と呼ばれる日能研、四谷大塚、首都圏模試のいずれも解答は答のみという作り方をしていますね。ところが、実際の入試では、解答方法は学校によって千差万別です。したがって、答のみ要求するこれらの模試で良い成績をとっても、途中式を要求する学校の受験生にとっては模試の偏差値や合格可能性の判定はあまりあてにならないということです。模試の偏差値で志望校を決めることの危険性は十分に把握しておく必要があります。

9月からの公開模試の位置づけ

 首都圏では9月から12月まで、日能研模試、首都圏模試、四谷・合不合判定テストがほぼ毎月実施され、それまで1つの模試しか受けてこなかった生徒がいわゆる「他流試合」に臨みますので、それらのテストの受験者数は9月以降大幅に増えます。そこで、例年、たとえばSAPIXの生徒が四谷の合不合判定テストを受けて思ったほどの成績が出なくて心配になったりといったケースが多く見られるのですが、これは試験(問題)慣れをしているかどうかということが大きく作用しますので、もともと力のある生徒であれば、模擬試験を受けるにつれて成績が上がっていきます(心配はいりません)。そんなことよりも最初に書いたように、模擬試験の成績と志望校の合格可能性との関係を信頼しすぎることの方が心配です。このタイトルのお答えとしては、「試験(会場や雰囲気)慣れと基本事項の確認」のためと位置づけておくのがよいと思います。模擬試験の成績が良くても決して安心してはならず、成績が悪くても悲観する必要はまったくないということです(私が家庭教師として直接指導した生徒のケースを参照してください。合格可能性が10%×10%=1%・・・志望校の合格可能性表示10%の学校を2校受験して両方合格したC君のケース・・・でも志望校対策をしっかりしておけば、合格できるのです。)
 試験にあまり上がることのない生徒であれば、それほど多くの「他流試合」をする必要はありません。埼玉県や千葉県の受験ができる地域にお住まいの方であれば、実際の雰囲気を確認するためにこの地域で1月中旬に実施される実際の入試を受験するのも1つの方法です(模試を受けるよりもよいでしょう)。
 また、公開模試とは違いますが、9月以降四谷大塚の日曜テストの受験者が毎年激減します(半分近くに減ります)。これは、9月以降は四谷のカリキュラムに沿って総復習するよりも、別の時間の使い方(志望校対策)をしたいと考えるご家庭が多いということを表しています。
9月以降のテストの位置づけ、利用方法を間違えないようにしましょう。

志望校の選び方

 志望校選びの基準としては、学校の校風、指導方針などの学校要因、通学時間などの地理的な要因、生徒の学力や入試問題との相性などの個人的な要因が考えられます。そのうちの「入試問題との相性」について書いてみます。「相性」などと書くと漠然としてわかりにくいですが、ようするに「お子さんにとって得点しやすい問題かどうか」ということです。たとえば、国語の説明文は得意だけれど、物語文はさっぱりできない。漢字の読み書きや文法などの失点が多い。このような生徒が「毎年、長文は物語文1題で、漢字の読み書きの配点が20点」などという学校を受験すれば、模試の成績はよくても実際の入試での合格点は期待できません。あるいは、算数では問題処理のスピードを見るように多くの問題を出題する学校(成城学園中、女子学院中、鎌倉学園中など)や逆に大問3〜4題しか出題しない学校(武蔵中、開成中など)などもあります。じっくり考えるタイプの子どもには、後者のような問題を出題する学校が合っています。
 模試の偏差値で5程度の違いの学校A、Bがあり、どちらを受験するか迷っているという場合には、お子さんにとっての両校の「問題との相性」を見て判断しましょう。偏差値で5低い方の学校の方が合格しやすいなどと軽々しく判断しないことです。