コラム17.「算数の入試問題を親子で楽しもう」

 中学入試問題を解いていると、時々『楽しくなるような問題』に出会うことがあります。そんな問題をご紹介します。お子さんと一緒に算数の入試問題で遊びましょう。

  [2015年・立教新座中(1回)]
 1364と2015を2けたのある整数で割ったところ、割り切れずに余りは等しくなりました。このような2けたの整数をすべて求めなさい。

 この問題を読んで、2015が今年の西暦にちなんで使われた数字であることはだれでも気づきます。そして、この問題を解いていくと、答えの候補が21、31、93の3つ求まります。この3つの数字が実際に答としてふさわしいかどうかを計算してみれば、31は不適当であるとわかりますが、31が2015の約数であることを知っていた受験生にとっては瞬時に31が答として不適当と判断できたことでしょう。答の候補の中に31が入るように問題を作成したところが、この問題のかくれた面白さでした。なお、ここからは推測(おそらく、かなり正確)ですが、受験生の半数がこの問題の解き方を知らずにあきらめ、解き方を知っていて21,31,93の3つを求めるところまでできた受験生(約40%)のうち、半分が答の吟味をすることなくそのままこれを答として不正解となり、残り半分が21と93と正解を出せたことでしょう(受験生の正答率20%)。それくらいの問題でした。

  [2015年・香蘭女学校]
 香さんはお店に3種類のお菓子A、B、Cを買いに行きました。
お菓子1個の値段はAが105円、Bが52円、Cが39円です。香さんは、それぞれのお菓子を何個かずつ選んで買いますが、どれも少なくとも1個は買うものとします。香さんが買った3種類のお菓子の代金の合計が2015円であったとするとき、次の問いに答えなさい。
@ 香さんが買ったお菓子BとCの代金の合計金額を、13で割った余りを求めなさい。
A 2015の約数の中で、小さい方から5番目の数は何ですか。
B 香さんはお菓子Aを何個買いましたか。
C 香さんが買ったお菓子Cの個数が最も多くなるとき、お菓子Cの代金はいくらですか。

 この問題を読んで、@とAで??と感じた方。その感覚が普通です。この問題では通常、設問はBとCだけで十分です。しかし、それではただ難しいだけで何もおもしろくもない問題になってしまいます。
 @とAの問題の作問の意図を解説する前に次のことを確認しておきましょう。

★ 今年の年号が2015年
★ 2015=5×13×31より、2015は13の倍数


これだけ確認して、問題のポイントを説明します。
 まず、@はBのお菓子(52円)とCのお菓子(39円)の代金がどちらも13の倍数であることに気付かせるための設問です。
したがって、BとCのお菓子をいくつ買ってもその合計金額は13の倍数になりますから、13で割った余りは0です。
 Aは3種類のお菓子の合計金額(2015円)も13の倍数であることに気付かせるための問題です。
@とAから、 《お菓子Aの代金の和》+《お菓子BとCの代金の和:13の倍数》=《合計金額:13の倍数》 となりますから、お菓子Aの代金の和も13の倍数とわかり、お菓子Aの単価105円が13の倍数ではないことから、お菓子Aを13個買ったことが何の計算をしなくてもわかります。
Cの説明は省略します。

【参考】実は上の★に関しては今年の「追加予想問題」の中で出題予想をしていたテーマで、2015の約数については予想問題も掲載していました。
したがって、このプリントを前もってやっておいた生徒にとっては上記の問題の@,Aの作成意図は問題を読んですぐにわかり、@〜Bについてはまったく時間をかけずに正解することができたでしょう。(『2015年:追加予想問題』についてはこちらを参照)

  [2001年・成城学園中]
 整数を左から1つずつ順番にならべる「ある規則」を考えます。ただし、その「ある規則」では、3つ以上同じ数が続いてはいけないことにします。また、ならべ方が2とおり以上考えられるような「ある規則」はいけません。次の問いに答えなさい。
(1) この問題文に適する「ある規則」を1つ作り、わかりやすく説明しなさい。
(2) (1)で書いた規則にしたがい、初めから10番目までの数を、左から順番にすべて書きなさい。
(3) (1)で書いた規則にしたがってならべた数のうち、2001番目の数を答えなさい。

問題文が少しわかりにくいかもしれませんので、補足すると、「同じ数字が3つ以上続かなくて、並べ方が1通りに決まるような”規則”」をもった『数列』を自分で作り、問題を解きなさいというものです。
 たとえば、「奇数番目の数を0、偶数番目の数を1とする」という規則を作ったとすると、これが(1)の答で、(2)の答は「0、1、0、1、0、1、0、1、0、1」となります。(3)は2001が奇数だから、答は「0」です。
 (1)ではいろんな数列が考えられますが、あまり複雑な数列を考えると、(3)の答が求められなくなってしまいます。たとえは悪いですが、「自分で自分の首をしめる」という状況ですね。
 問題文をくだいて説明してあげれば、3年生でも4年生でもできると思います。ぜひ、お子さんと一緒に遊んでみてください。子どもの発想は大人が考えるよりもずっと柔軟です。